大判例

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名古屋高等裁判所 昭和31年(う)239号・昭31年(う)238号・昭31年(う)240号 判決

しかし、原判文によると、原判決は罪となるべき事実の摘示において、その挙示の証拠により適法に認定した上、被告人谷口全男は相被告人中野道賢同加納一成と原判示の強盗につき共謀し、長さ約三尺の角材一本宛を各携えて近藤道順方屋内に侵入し右三名共同してその実行に着手したところ、被害者道順が騒ぎ立てようとする気配を示したので、被告人中野同加納は咄嗟に道順夫妻を殺害して金品を強取すべき意思を相通じた上、被告人中野は道順に、同加納は道順妻玄亮に飛びかかり、両手でその頸部を扼して両名を窒息死に至らしめて殺害した旨を判示し、法令の適用において、被告人谷口全男に対し強盗殺人(結果責任たる強盗致死)の点につき刑法第二百四十条後段を適用したことが明らかである。

強盗共謀者中或数人が実行行為の途中から強盗の手段として殺意を生じて人を殺害したときは、殺意のなかつた他の共謀者も強盗致死の結果についてその罪責を免れないものと解するを相当とする。ゆえに、原判決の示すところにより明らかなように、被告人谷口全男には殺意はなかつたが、同被告人は相被告人中野道賢同加納一成と強盗につき共謀したことは動かぬ事実である以上、右相被告人中野同加納が犯行の途中から強盗の手段として殺意を生じて道順夫妻を殺害した結果について被告人谷口もまた強盗殺人の加重責任を負担すべきものというべく、従つて、被告人谷口の右所為は刑法第二百四十条後段に該当すること明らかである。

されば、前記原判決の示すところもまたひつきよう、右と同趣旨と解せられる(なお、所論は原判決は、被告人谷口が相被告人中野同加納両名の殺人行為を予見し得る立場にあつたか否か、またこの点につき過失があつたか否かの判断を示さなかつたことを捉え来り論難するけれども、前段説明の強盗殺人の加重責任の負担には別に所論のような判断を示す必要がないものと解するので、所論は採用に値しない)から、原判決には要するに、強盗殺人罪の判示として欠くるところなく、すなわち、理由不備の違法はない。論旨は理由がない。

(裁判長判事 影山正雄 判事 石田恵一 判事 水島亀松)

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